【ギフテッドな日々】障害と天才の挟間より速報

動作性IQ141ギフテッド。そんな人の視点から見た世界をつらつらとつづっていきます。

ADHDを2つの要素から解いてみる

 待ってました! 密かにファンやらせてもらってます、望月志乃さんのブログの新着エントリー。

blog.shinoegg.com

 更新なかった間、あまりお元気ではなさそうだったので心配ですが……

 今回もADHDに関して、「なるほど!」と思わせていただける内容でした。

ADHDの本質を見事に表した言葉

「集中できない」「落ち着かない」と言うより
 目の前の事に集中しすぎて失敗する

 まずブログ内の漫画で描かれていたこのフレーズに、「!!!」となりました。

「集中できない」「落ち着かない」も、「一つの事に没頭してしまう」、という事も分かってはいたのですが、これが二つで一つ、表裏一体の関係であるという事にはこれまで気付けていませんでした。

「集中できない」「落ち着かない」のは、他に集中したい事があるから、なんですね。

 そちらが気になって気になってどうしようもなくて、はたから見たら「集中できない」
 一つの、ただ一点に集中しすぎるあまり、はたから見たら「落ち着かない」

 裏を返せば、自分の興味にひたすらまっすぐに進んでいける、という事でもあるんですけれどね。

ADHDを解く2つのキーワード

 私自身は大人になってADHD傾向は多少緩和されたけれども、今振り返ると、やっぱり上記のような傾向が強かったと思う。大人になるにつれ自然と緩和されたのか、経験による理屈と理性で解決されてきたのか、その辺りはよく分からない。そもそも、この傾向による困り感自体があまりなかったような気がする。それは、自分と世間の関係を「そういうものだ」と思い込んでいたのと、自分の性質をあまり問題視していなかったせいもあるかもしれない。

 そんなわけで、絶賛ADHDの息子の、困り感の本質に気付けなかった。

 集中しすぎるあまりに、(今やらなければならない事に)集中できない。

 そして言及させていただいた記事の見出しにあった言葉、

脳の「一時記憶メモリ」がポンコツ

 この2点が分かったとなれば、息子にとってより楽な生活方法を導き出せるかもしれない。

我が家で実践。ADHD対策

 ①興味への集中②短期記憶力の欠如

 この2点のコラボがADHDの生活を困難なものにしていると仮定して、一つずつ解決していこう。

①興味への集中対策

 言及記事で志乃さんも言っておられますが、タイマーはとても良いですよね。
 卑下する必要なんてなくて、その方が決められた時間、大いに集中できるのだから素晴らしい効率化だと思うのです。息子に関してはまだそばに誰かがいないと切り替えができないので私が時間管理をしていますが、今日はちゃんと決められた時間に大好きな読書をやめられた。素晴らしい!

 あとは報酬系の利用ですね。

 うちの場合は、
息子「〇〇のゲームがほしい!」からの、
私「いいねゲージが100%までたまったら何か良い事が起こる……」
 で、今、頑張ってくれています。

 以前は1ポイント1円のお小遣い制みたいにしていたのですが、息子自身から発せられる強い欲求への報酬、ではなかったせいか、いつの間にか立ち消えになってしまいました。報酬系については、上手に利用しないと思うような成果を挙げられない&親から子への利用以外の場合(自分へのご褒美方式)だと管理がちょっと難しいかもしれません。(長くなってしまうので、また気が向いたら別記事でまとめます)

 あと何気に大事なのが、許す事

 遊びに集中しすぎて宿題できなかった。しょうがないね、じゃあ次はどうするか。先に宿題頑張ってみよう。
 朝、考えごとをしすぎて学校に遅刻した。しょうがないね、じゃあ次はどうするか。もう少し早く家を出られるように考えてみよう。

 集中しすぎての失敗を責めない事。それは子供の場合も自分の場合も一緒です。

 自分自身を責めるでも他人から責められるでも、人は自分自身の性質を責められると、状態が改善するどころか悪化します。息子も自分で分かっているのに、そこを責められてしまうとテンションダダ下がりでかえってやる気を失ってしまいます。責めるとは否定、すなわち拒否です。拒否をしてしまったら、問題の根幹にふたをするようなもの。逆に認め、許容する事で、その失敗の先に進めるようになります。

 例えばMP0の魔法使いに、結果だけ見て「なんで魔法使えないんだよ!」と責めてもまるで建設的ではない。「しょうがないじゃん!MP0なんだから!」「なんで0なんだよ!」って、完全に不毛なやり取りですよね。

「そうか、MP0ならしょうがないね、じゃあどうするか」と認めて初めて落ち着いて、「宿屋で一晩眠りでもしますか」という外的要因での対処が出来る訳です。

②短期記憶力の欠如対策

 短期記憶力の欠如に関しては、月並みではありますがメモが超有効です。

 まぁメモを取ってもそのメモをなくしてしまったりするんですけれども、それでも私はメモをおすすめします。

 実際、私の周囲はメモだらけ。いらなくなった紙を裏書き用にその辺に放置してしまうくらい(←この辺がまたアレなんですが)、書き留める事にお世話になっている。ペラ紙1枚のメモでも、パソコンを触っている時に思いついた事はパソコンの上に。仕事中にメモった紙はカバンに入れているクリアファイルに。といった具合に、はたから見たらなくしそうでも、一応マイルールも設定されている。100%ではないが、これで片付けるというストレスもなく(←整理整頓苦手)あらかたの紛失も防げるのです。

 あとは手帳。これもあった方がいい。
 ポケットサイズの小さな手帳やメモはなくしてしまうので、私は少し大きめの手帳を愛用しています。定位置はカバンの中。メモったらすぐカバンに戻す事で、持ち出し忘れや紛失を防止しています。

 タスクが重なった時は、まずその辺の紙にやるべき事を箇条書きに書き出して、済んだ事から線を引いて消していく。視覚化大事。

 メモは習慣化するまでどうしても面倒なイメージがつきまとうけれど、今この瞬間の、目の前の作業とは別の事を頭の中にとどめておく努力をしながら作業する方がはるかに非効率的だと思うのです。

 思考は自分(人間)にしか出来ない作業だ。記憶しておく、などというメモやパソコンに任せられる作業にわざわざ脳の容量を使ってやる必要などないのだ。

 この尊大さが、困り感を感じずに生きてこられた要因な気がしてきましたね。

せめて自分だけは、自分の事を許してあげよう

 ふわっとした精神論で結論をつけるのは嫌なのですが、結局、全てはここから始まるのですよね。

 行動から気持ちを引き起こす、という方法もあるのでしょうけれど、行動は本来、自分の内なる思いから生まれるものだというのが私の勝手な持論なのであります。だからできる限り、人間心理を細分化して論理的に文章にしようと試みているのですが。

 何も悪いことをしていないのに、許す、という言葉を使うと語弊がありそうですが、自分で自分を責めない、という意味で受け取ってもらえるとありがたいです。

 だってやっぱり世間のみんながみんな、自分と違うものに寛容であるわけではないですからね。当然、ADHD特有の失敗を責めたり、陰口をたたく人なんかもいる。これは仕方のない事であって、ならばせめて自分だけでも自他ともに寛容にあろう、と考えた方が現実的でストレスもかからない。

 環境って恐ろしくて、自分だけが周りと違う、と思わされる状態に長い間置かれると、自分を責めたり、意固地になったりしてしまう。

 真の理解者が一人でも近くにいてくれればまた全然違うのだけれども、そうではない時、“みんな違ってみんないい”の思想が自分を救ってくれるかもしれない。最近になってようやく私はそれに気が付いたし、息子にもそう伝えるようにしている。母親が傍にいる今はいいけれども、息子もいつかは自立していかなければならないですからね。

 自分でなくなる、というのではなくて、自分も他人もそのままでいい、と心の底から解放してあげる。

 考え方を変えるのは難しいかもしれないけれど、内面が変われば取る行動も勝手に変わっていくので、その後が劇的に楽になる。対処療法を突き詰めるよりも、人間性を育てる事で全方位の問題に対処できる懐の深い人間になってくれれば、というのが、ADHDの息子に対する私の願いなのです。