【ギフテッドな日々】障害と天才の挟間より速報

動作性IQ141ギフテッド。そんな人の視点から見た世界をつらつらとつづっていきます。

あなたがあなたであることを

 正直、キツい。愛する人デッド・オア・アライブを、ただはたから見守っているだけ、というのは。自分が被害を被ったり、身銭を切ったりするよりもはるかにキツい。

 例えば、子供自身の問題や課題を、心配のあまり先回りして処理してしまう親を考えてみてほしい。私には今、その気持ちが痛いほど分かる。そしてそれをしてしまわないよう、必死に堪えているのだ。

 彼が今、窮地に立たされているのは、彼の人生の結果であり、彼の生き様のツケである。その窮地は彼が自分で解決しなければならないし、もちろん彼自身もそうしようとしている。それを、私が心配だからといって横からあれこれ世話を焼いてはいけないのだ。それは単なる私の自己満足にすぎないし、自己満足のために彼という存在そのものの在り方を侵害してもいけない。例え最悪、彼の命に関わる問題だとしても、彼自身を汚すような真似はしてはならないのだ。


 私にできることは何もない。余計なことをせず、彼が自力でこの窮地を脱するのを信じるだけだ。

 今日食べるものがなくても、行政に頼らなくても、生き抜く力の強い彼のことだ。多分、なんとかするだろうとは思う。それでも大好きな相手であればあるほど、はたから見たその窮状が切羽詰まっているほど、手を出してしまいたくなる。


 仮に私が手を出したとして救えるのは、彼の肉体という、からっぽの入れ物だけだ。その中に収まっている彼の本質は、私の余計な干渉のせいで傷ついたり、歪んでしまうかもしれない。否、もしかしたら私は、そういう余計な干渉をする人間だ、と彼に思われ、嫌われるのを恐れているだけなのかもしれない。

 どちらにしても確実なのは、耐えるしかない、ということだ。私が彼に生きていてほしいと思うのは、彼のためではなく私のためなのだ。私が余計な手を出せば、他ならぬ私自身の手で彼という存在をダメにしてしまう可能性がある。彼が彼であることを潰してしまう。


 本当ならそれぞれの生活を送る中で、彼からの吉報が届いて初めて、良かったね、と言えるくらいがいい女なのだろうけれど、残念ながら私にはまだそこまでの胆力は備わっていないようだ。だからここに書くことで気持ちを整理して、落ち着かせている。

 頭では分かっていてもなかなか気持ちがついていかない未熟な人間。それが私だ。

 ぶつけてはいけない私欲を、こんなところに書いて捨てている私の未熟さなど、あなたは生涯知らなくていい。