【ギフテッドな日々】障害と天才の挟間より速報

動作性IQ141ギフテッド。そんな人の視点から見た世界をつらつらとつづっていきます。

個人的に自閉症スペクトラムだと思う漫画家

※超独断的なタイトルですが、作者の方に対する批判や差別、または断定の意味合いではありません。自閉症スペクトラムの私が読んでいて、作風が私の感性に近いな、と感じただけですので、ご了承の上お読みください。

 と、注意書きから書き始めなければいけないくらい勝手な見解の文章な訳ですが、自閉症スペクトラム的な才能が全面的に生かされているな、という作風の漫画を紹介したいだけなのです。さっそくタイトルからいってみましょう。

『血と灰の女王』

 作者はバコ ハジメ氏。
 『血と灰の女王』は小学館マンガ雑誌アプリ、マンガワンにて連載中(執筆現在既刊・5巻)の漫画です。『次にくるマンガ大賞 2018』Webマンガ部門で7位を取った作品でもあります。


 以下、マンガワンアプリのあらすじより抜粋↓

富士山が噴火して以来、日本の、そしてこの街の夜が一変した。
火山灰をかぶった一部の人間達は驚異的な力を誇る闘争型ヴァンパイアとなり血で血を洗う殺し合いを開始。トップに立った者は全世界を支配するルールの中で、主人公・ドミノが這い上がる!!
表現コードギリギリの筆致で描く閲覧注意のダークホラーバトル、開幕!


 内容は……特に序盤は見る人を選ぶと思います。グロ表現がとにかくすごくて。
 それでもぜひ読み続けてほしい。本当に面白いから。

さて、本題に入る

 当ブログはネタバレサイトとかではないので、『血と灰の女王』の詳しいストーリーなどには言及しません。絵も本当に上手くて、キャラクターやバトルシーンもめちゃくちゃ格好いいんですけれども、それも普通の漫画としての魅力なので割愛します。

 今回のエントリーでは、この漫画のどこが自閉症スペクトラム的なのか、という部分に焦点を当てて説明していきます。

深く掘り下げて論理化(要素化)しているんじゃないかなー、という勝手な予想

 一番は登場人物の行動心理が物凄い密度で描写されているという点。本当に、ここまで緻密に掘り下げるのか、というくらい。

 もう一人の主人公とも言える存在、佐神 善は異常なほど観察する力に長けている(この観察眼にもきちんとした由来がある)。でもこれほどの観察眼を描写するには、当然、作者が善の置かれている状況や対峙している相手について徹底的な掘り下げを行っていなければならない。これは多分、後付け設定では間に合わないんじゃないかな。

 善に関してもそうだけれど、他の登場人物についてもそうなんです。
 例えば“凶器と理性の男”と称され、読者にも兄貴と呼ばれ親しまれている(笑)狩野 京児。この“狂気”と“理性”が、本当にきれいに一人の人物の中に同居しているんです。こういう“特徴”を一つ一つ、要素としてきれいに洗い出してから登場人物を作っている気がするんですね。

 だから登場人物全員、個性的で魅力的なのに、設定された性格に対して行動に筋が通っている。すごく説得力がある。“こういう内面から出る行動”、というのがとてもよく分かるんです。

再構築して表現する能力

 そしてそれがだらだらとした説明ではなく、漫画らしく、きちんと絵や登場人物の言い回しで表現されている。その表現がまた絶妙で、細かくて、面白い。

 主要人物でもモブキャラでも、直接は見えないバックヤードを背景描写とかで巧みに語ってくるんですよね。本当に絵で内面描写をするのが上手過ぎる。例えば敵のボス、日ノ元 士郎は結婚指輪をしていないが奥さんはしている、とか。京児の兄貴が死体まみれの中を行く時、一瞬だけ目を止めた先にあったのが子供の手、とか。

 せりふでは語られないんですよ。本当に気をつけて読んでいなければ気付かないほどさりげなく、心の内側をぶち込んでくる。

そして散漫な思考の素質があると予想

 自閉症スペクトラム的な散漫な思考があると仮定しても、バコ先生はきっとそれを整理する術を身につけているのだと思いますが。

 上の見出しで書いたような細かい表現は、あれこれ広がっていく想像をカタチにした結果なのではないか、と予想する訳です。うちの息子の発達障害の検査でも、一つのテーマを描いている際に想像が広がっていって、細部から描き込んでいってしまう、という傾向がありました。

まとめると

 内面の分析(掘り下げ)力。
 (絵で表現するという)再構築能力。
 散漫な(細部にまでこだわる)思考。

 以上3点が、『血と灰の女王』を読んで、自閉症スペクトラムの思考っぽいと私が感じた理由でした。

 まー、完全なる私の妄想なんですけれどもね。

 でも単純に、今一番私が面白いと感じている漫画なので、興味が湧いた方はぜひ読んでみてください。超絶おすすめします。