発達のでこぼこってこんな感じさ
はい。前回予告した通り、今回は、
『なんで知能検査項目の数値ではなく、各項目の開きが=発達障害になってしまうのか?』
について書いていきたいと思います。
これね、私も疑問だったんですよ。
WAISやWISCといった知能検査を受けると、大きく分けて4つの項目(群指数)でその人の能力の得意不得意を数値化してくれますけど、どうして『項目間に差がある』事が発達障害の条件というか、そういう生きづらさにつながってしまうのかと。
だって普通に考えれば、〇〇が苦手、で済む話じゃないですか。
例えば、作動記憶の項目だけが低ければ、「ああ、自分は色々な事を同時にこなすのが苦手だなー」くらいで済むと思うじゃないですか。
それがどうして、
集中できないとか落ち着きがないとか多弁とかコミュ障とか余計な問題まで引き起こす事になるのさ!?
と……
今日はこの疑問について、あくまで私の体感と、ここまでにひっかき集めた知識を元に推論を進めていきたいと思います。
話を簡単にするために、私自身の例から抜粋してきましょう。
前の記事でもちょろっと書きましたが、私のWAIS-Ⅲの結果の中で一番項目間に数値差があったのが、知覚統合と作動記憶。
知覚統合とはホントざっくり言えば、目から入る情報を把握する能力。作動記憶とは耳を通した情報を頭の中で整理する能力。各項目の数値は以下。
知覚統合→IQ135
作動記憶→IQ107
……ご覧の通り、私の場合、他の項目に比べて数値が低いだけで、一応、一般平均値くらいはあるのです。
でも不思議なことに、きっちり自閉症スペクトラムの特性が出るんですよ!Σ( ゚Д゚)(前回の記事参照)
これはね、あれですよ。一言で言えばですね、
自分が自分についていけてないんですよ(遠い目)
例えば、うーん、そうだな……
適切な例えになるかどうか分からないですけど、自分と世界をつないでいる連絡通路があるとして、IQの数値=情報や行動をやり取りする連絡通路の広さだと思ってください。
知覚統合が高い私の目からは、すごくたくさんの情報が入ってきて処理される。しかし、どうしても狭い方の通路を通さなければならない時もある。その通路の広さにあまり差がなければ問題ないのだけれど、普段、両開きの大扉を使っているものを、「どうしたってこの小窓を通さなきゃダメだろ!」って言われたら辛くない?
流通が盛んな大扉を尻目に、うんうん言いながら小窓を通そうとするの、馬鹿らしくない?
本人からしてみれば、理不尽なのよ。大扉を通せば事はさっさと済むのに、その小窓使うことになんか意味あんの?って思ってしまう。
興味のある事には夢中になって取り組むけど、苦手な事には全く集中できない、っていうのも、ここから来てますよね、多分。
でね、人間、できているところは当たり前に受け取られ、できないところは悪目立ちしちゃうもんなんですよ。
だから他人からは、出来ないところばかりに着目されて、変な人、ダメな人扱いされてしまう。でもうまく表現できないだけで、本人の中では色々分かっているんですよ。どうする事が社会的に正解なのか、とかね。でも外部と内部の情報の行き来に、大扉ではなく小窓の使用を余儀なくされた時、処理しきれずに混乱してしまう。
そしてあらかじめ大扉から得ていた知識で、小窓を通ってくる情報そのものはカンタンなものである事を知っているからこそ、どうしてできないのかが自分でも分からない。
独り言をぶつぶつ言っちゃうのとかも能力の項目差を補うためだと思っていて、自分の内部で行われている処理速度に、能力の低い項目がついていけてないから、確認のために口に出して、自分の耳に入れているんだと思うんですよね。
ほんの数秒前まで手にしていた物をどこに置いたのか分からなくなってしまうのも、小窓からの流通(短期記憶)が大扉からの流通に押し流されてしまうからだと思う。
もっと具体的に、どの項目とどの項目に差があるとこうなる、みたいに書ければいいんでしょうけど、今回はタイトルの通り、「発達のでこぼこって、こんな感じさっ!」って事で。
いかんせん、ソースが私(と息子)だけでデータ不足だし、推論に過ぎないし、あんまり嘘言ってもいけないし(笑)
各項目間に差がある事でどんな弊害が表れるのか、って事くらいは、もうちょっと勉強すれば必然的に辿り着けるんじゃないかな。4つの項目(群指数)間での差の影響は結論出てそうだけど、その下の下位検査項目の差を含めると、煩雑過ぎて本当に臨床で対応していくしかないのかもしれない。だから近年、自閉症とかアスペルガー症候群とか全部まとめて、『自閉症スペクトラム』になったんだと思っているよ。
最初から最後まで全部、個人の体感と推論なんだぜ!
発達障害の定義や理屈の正しさを証明するものではないので、その辺りはご了承くださいねー。