【ギフテッドな日々】障害と天才の挟間より速報

動作性IQ141ギフテッド。そんな人の視点から見た世界をつらつらとつづっていきます。

さよなら、大好きな人

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 大好きな彼氏さんが長野県を出ていくことになった。

 多分、もうここに帰ってくることはないのだと思う。

 今は自分の事しか考えられない、と言われた。そりゃあそうだと思う。移動手段も職もなくなり、向こう一か月ほど生き延びるほどの貯金しかないのだ。車の必要のない都会に出て、一からやり直すほうが現実的だ。私もその方がいいと思う。

 このことについて、私には事前に何の相談もなかった。相談することに意味はない。自分のことを決めるのは自分だし、誰かに反対されたからといって自分の意見を曲げることはあり得ない。実に彼氏さんらしいと思った。仮に事前に話を聞いていたとしても、私にそれ以外の、有効な選択肢を提示できたとも思えない。


 頭ではそうした方がいいし、そうするしかないということも分かっている。

 でも、私の中にあるこのどうしようもない淋しさが、本当にどうしようもなくて辛い。

 恋愛ってこういうことなんだ。相手を尊重したい気持ちと、自分が相手を好きな気持ちがせめぎ合って、それがうまくかみ合わない時にどうしようもなく辛くなる。


 遠く離れても、私が彼氏さんのことが大好きなのは変わらない。その、大好きなものに手が届かなくなるのが辛いのだ。これは単なる、私のわがまま。


 今の彼氏さんは人生の大前提である、生き延びることに対して本当に余裕がないのだと思う。だから本当は邪魔をせず、自分のことだけを考えさせてあげたいのだ。それなのに、私のこの感情はなんだ。

 彼氏さんが長野県を出ていって、もう帰ってこないという現実は変わらない。仮に私が子供を連れて一緒にここを飛び出して行ったって、彼氏さんが向こうで身を立てるまでは、私達のことを考える余裕などないだろう。だからここは、笑顔で見送るのが正解だ。それなのにこの私のわがままな感情からは涙しか出てこない。


 私は彼氏さんのことが本当に本当に大好きで、本当に本当に心の支えになってくれていたんだということが今になってよく分かる。私は何を恐れているんだろうか。近くにいて、触れられなくなるということだろうか。それとも彼氏さんの目がこちらに向かなくなる、という現実だろうか。多分、後者だ。私は多分、私からの一方通行ではなく、相互通行を望んでいたのだ。

 それは無理な話だ。生きるか死ぬかの時に、他人のことを考えてくれ、というのは酷な話だ。だから、愛しているからこそ快く送り出すのだ。無理難題を突き付けて、大切な相手の時間を奪ってはいけない。


 好きな人が近くにいようと遠くにいようと、実は私にできることは何も変わらないのだ。ただ好きでいること。それだけだ。

 ただし、これからは私の、好きという気持ちに対して戻ってくるものはない。いつの間にか、見返りがあるという贅沢にすっかり慣れてしまったようだ。そう、これまでが恵まれ過ぎていた。大好きな人よ。本当に、贅沢で幸せな時間をありがとう。

 いつか彼氏さんの生活が落ち着いたら、傍へ飛んで行ってしまいたい、と今は思っている。でもそれはだいぶ遠い先の話だ。そんな遠い未来に縛られながら、今を無駄にしてはいけない。早く前を向こう。これはきっと、彼氏さんにとっても、彼氏さんという個人を好きになった私にとっても、必要な時間なのだ。